Written by ikemiya。

【中山七里】おすすめされたシリーズ物『いつまでもショパン』を読んでみた

読書

どうも、僕です。
読んだ書物の感想をダラダラ書いているので参考にしていただけると幸いです。

中山七里という作家をご存じでしょうか?読書好きな方ならほとんど知っているであろう人気有名作家です。
僕も以前から知っており、なんなら数冊読んだこともあります。この度、知人におすすめされたので改めてシリーズ物を読んでみようと思いました。

既刊数がたくさんある中、僕が選んだ一冊、それか『いつまでもショパン』です。

『いつまでもショパン』ってどんな話?

簡単な説明

『いつまでもショパン』は中山七里の『岬洋介シリーズ』と言われているシリーズ物の第三作品目。ジャンルは推理小説に分類され、ピアニスト 岬洋介をキーパーソンとして物語が進んでいきます。
岬洋介はとても優秀なピアニストであると同時に優れた観察力と思考力を持った人物で、この岬洋介がいわゆる探偵役として作中で起こった事件を解決していきます。

ざっくりしたあらすじ

ポーランドの若きピアニスト、ヤン・ステファンスは音楽一家に生まれ幼いころから音楽の英才教育を受けてきた。その才能と努力の甲斐あって、ヤンは祖国で開催される世界的なピアノコンクール、ショパン・コンクールへ出場することとなる。
しかし、ショパン・コンクールの直前に国内では爆破テロが起きており、厳戒態勢で開催されたコンクール会場ではさらに殺人事件が発生。ヤンやコンクール参加者たちは異常事態の中での演奏を強いられる。
非日常の中で予選を通過し優勝を目指すヤンの前に、ダークホースである二人の日本人『榊場隆平』と『岬洋介』が立ちはだかる……というお話。

文章だけで表現される圧倒的な描写

未経験とは思えない音楽シーン

中山七里の書く小説には音楽が奏でられるシーンが数多く登場します。そのシーンはとても情熱的で感情豊か。数ページに渡り曲の解説が続き、演奏するときの注意点やどの箇所が難しいのか鮮明に書かれています。
中山七里は実際に曲を弾いているのでしょうか。いえ、そんなことは起こりえません。
なぜなら、文章を書いている中山七里本人は音楽の素人だからです。

本物の音楽家も舌を巻く解説

中山七里は小説家であり音楽家ではありません。
それなのに、作中に出てくるクラシック音楽の表現が異常にリアルです。まるで、作曲者本人が中山七里の体を借りて曲の解説を書いているかのよう。演奏したわけでもないのにどの部分が難所になっているのか、どうして演奏するのが難しいのか、正確に説明されています。
その分析は本物の音楽家も参考にするレベルで非常に説得力があります。
この音楽を表現しきる圧倒的な文章力があるから、中山七里は小説で音楽を書き続けることが出来るのです。

参考として、中山七里の演奏シーンを読んだ人の感想を貼っておきます。

こちらもリアルな海外風景

海外で行われるショパン・コンクールを舞台とした物語なので、物語のほとんどは日本国外で進行します。
登場人物の視点がポーランドやアフガニスタンに移るシーンがあるのですが、その場面描写も音楽シーン同様にとてもリアルです。
例えば、ポーランドの警察署内の場面。署内の殺伐とした雰囲気、現場作業員たちの苦悩や不満、ポーランドに住んでいる人々の国民性、それらが文章を通じてひしひしと伝わってきます。
国外の警察署の描写なので流石に取材などは行われていないと思うのですが、中山七里はどうやって資料を集め、想像力を働かせてこの場面を書ききったのでしょうか?
まったく想像つかないくらい臨場感が溢れています。

肝心の推理パートはどんな感じ?

小説家 中山七里は『どんでん返しの帝王』と呼ばれ、『岬洋介シリーズ』は謎解き要素が出てくる物語です。それでは、『いつまでもショパン』の推理パートはどのような感じなのでしょうか?

推理パートの正直な感想

僕の個人的な感想になりますが、他の中山七里作品と比べて『いつまでもショパン』の推理パートは少し物足りなく感じました。その理由は大まかに以下の理由からです。

  • 『ショパン・コンクール』の進行にページが多く使われ、推理パートが少なかった
  • 大がかりな事件が多く、容疑者を絞り込むのが難しく感じられた
  •  探偵役である岬洋介が探偵としてではなくピアニストとして行動する場面が多かったので、犯人特定の場面がやや強引に行われた印象があった

以上の理由で僕には『いつまでもショパン』の推理パートが物足りなく感じられました。

それでも小説として十分面白い

ぐだぐだと個人的な感想を言いましたが、十分読む価値のある面白い小説だと思います。終盤に中山七里作品らしいどんでん返しが用意されていますし、登場するキャラクターたちはみんな個性的で魅力的です。それになんと言っても、作中で書かれている音楽の演奏シーンの迫力は他の作家さんは真似できないほど圧巻。
どれくらい圧巻かと言いますと、まったくクラシック音楽に興味のない僕がこの文章を書いている間、作中に出てくる音楽を鑑賞してしまうほど圧巻の描写なのです。
読んだ人の行動を変えてしまうほどの小説が、面白くないわけないじゃないですか。

まとめ

以上が僕の『いつまでもショパン』を読んだ感想です。
今回のブログで言いたいことを箇条書きしておきます。

  • 『いつまでもショパン』は中山七里の小説で『岬洋介シリーズ』に分類される人気ミステリー小説。
  • 描写がとてもリアル。特に海外の風景とコンクールの演奏シーン。演奏シーンはプロの音楽家も参考になるレベル。
  • 個人的には、推理シーンが少なく感じられたのでミステリー物としての印象は薄い。でも、物語は充分面白い。

つまり何を言いたいのかと言いますと、とても面白いので間違いなく他人に進められる作品ですよ、ということです。
現在、僕が『岬洋介シリーズ』の第四作品目『どこかでベートーヴェン』を読んでいる最中なので、いつかこちらの感想も書いてみたいと思います。

今回のブログは以上です。
最後に、作品を購入するのに便利なURLを貼っておきますので興味のある方は活用してみて下さい。
当ブログを読んでいただいて、ありがとうございました。