【重力ピエロ】「小説まだまだいけるじゃん!」と世に知らしめた名作

読書
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どうも、僕です。

友達からメッセージが来ました。
「このまえ、おススメしてもらった『重力ピエロ』がバズってるんだけど」

なんのこっちゃと思い調べてみると
どうやら競馬で同名の馬が勝ったらしいとのこと。

ネタバレが怖くてネットで調べられない友達には
内容とは関係ないから気にしなくて大丈夫、と伝えておきました。
いやはや、馬主は完全に伊坂ファンなのでしょう。

それにしても『重力ピエロ』ですよ。
初期伊坂の名作中の名作

本作を読んだ関係者が
「小説、まだまだいけるじゃん!」と快哉を叫んだのは(一部で)有名な話です。

というわけで今回は、何回読んでも色褪せない
擦り続けられる名作『重力ピエロ』について語っていきたいと思います。

これは家族についての物語

あらすじという名の家族構成紹介

遺伝子に関する研究や諸事を取り扱う企業に勤めている泉水(いずみ)には二つ年下の弟がいた。
名前は春(はる)、二人は仲の良い兄弟だった。
母は既に亡くなっており、二人の尊敬する父親も癌に体を蝕まれ、病床に伏していた。

三人は良好な関係を築けていたが、この中で春だけ血が繋がっていなかった。
春は、母親が襲われたことにより生まれた子供だった。
母親がいなくなっても、三人は間違いなく家族であり続けた。

父親の病状が悪化する中、泉水の勤める会社で放火事件が発生。
それは巷で話題になっている連続放火事件の一端だった。

春は泉水に告げる、放火事件にはルールがあると気づいた、と。
泉水、春、父親。
放火事件により、三人が家族であることを試されていく……という物語です。

家族紹介

兄 泉水

本作品の語り手、物語は全て泉水視点で進められていきます。
勘が鋭く思慮深い性格。
淡々としているが決して薄情ではない、友人に一人は欲しいタイプ。

作中の他の登場人物とのやり取りを見ている限り
ユーモアがあり、様々な人から信頼を得ている模様。
決して派手さはないが堅実に生きていき、なんだかんだ幸せになりそう。

春のことは大切な弟として認識しているが
出生の事実のせいでもやもやしており、自分の中で葛藤を続けている状態。

それでも春のことを大切に思ってるんだから
優秀な兄貴ですよ、泉水は。

弟 春

泉水の弟。
上記に書いてありますが泉水とは異父兄弟。

容姿端麗、スポーツ万能、ユーモアな思考に富んでおり
どう考えても異性からモテる印象、……実に羨ましい。

しかし、自身の出生のせいで性的なものに複雑な思考を抱いており
人間の一部分を嫌悪している感じがある。

兄である泉水のことを『お守り』のような存在だと思っており
何か大切なことをするとき泉水がいないと困ってしまう。

改めて読み返してみて思うけど
春ってブラコンだよなあ。

泉水と春が問答無用で尊敬する父親。

作中では初めから闘病生活を強いられており病院で暇を持て余していたため
兄弟から連続放火事件の情報を仕入れて
安楽椅子探偵のまねごとのようなことを始めた。

泉水のことはもちろん
春のことも自慢の息子と考えている。
闘病中にもかかわらず、わんぱくで行動力がある印象。
さすが二人の父親といったところか。

嘘をつくとき、目をぱちぱちさせる癖がある……らしい。

兄弟がそれぞれ出した結論

泉水sideの物語

泉水は普通の会社員として生活しています。
しかし、その中で長年見続ける悪夢があるのです。

それは、春が生まれるキッカケになった出来事。

決して望まれない生まれ方をしてきた春。
けれど、春は決して悪くありません。
泉水もそれは充分理解しています。
だから春は大切な存在であり、自慢の弟なのです。

だからと言って簡単に割り切れないのが人間。
仮に、泉水が過去に戻れるとして
母親が襲われている場面に遭遇したときどうするのか。

泉水は自問自答し続けます。

母親を助ければ春は生まれてこない。
母親を助けれなければ母親を見捨てたことになる。

この葛藤が、泉水の中で静かに燻り続け
やがて大きな決意と変わるのです。

しかし、その決意は無駄に終わるのですが……。

春sideの物語

春は春でもっと複雑です。
なんといっても、諸々の当事者なのですから。

春は精神的に成熟する前から品の無い周囲の噂話のせいで
自身の出生のことに勘付いてしまいます。

これはとんでもなくショッキングですよ。
だって春は泉水のこと、父親のこと、母親のこと
家族のことが大好きだったのですから。

それなのに、自身は父親や泉水と血が一切繋がっていない。
そして、母親が屈辱にまみれた事実を象徴する存在である。

これは、春が家族の中にいるだけで
泉水たちは事件のことを忘れることが出来ないということに繋がります。

自分は生きた犯罪の証拠である。

家族のことが大切だからこそ
この状況は想像を絶するに余りありますね。

春は作中で自分のことを、狂人のたぐいだと語っていましたが
多分本当にそう思っていたのでしょう。
十数年間もずっとこんなことで悩み続ければ
まともでいるのが難しいと感じてしまうはずですから。

結果、春は泉水よりも強固な決意をするのです。
それは皮肉にも、兄のことを追いかけていたばかりの春が
初めて泉水のことを追い抜くことに成功したのですから。

兄弟が父親に救われる物語

どうして『重力ピエロ』が名作なのか

重力ピエロは感涙必須の小説です。
しかし、感情の揺さぶり以外にも小説として優れた箇所がいくつもあります。

まず、伏線の張り方。
これが実に巧みなのです。

登場人物の何げない台詞、緻密に計算された構成、寄り道とも思える小話。

これらが後に繋がっていきます。
伏線が繋がったときの快感といったら、もう脳汁出まくりです。

あと、伊坂作品の特徴なのですが
登場人物たちの軽快な会話。
これが実に愉悦。

本作品は文庫本で450ページ以上の中々ボリューミー
尚且つ、遺伝子の専門用語がザックザク出てきます。

しかし、全然目が滑らないんですよね。
もう、本当に一気に読めてしまいます。

次から次に起こる不可解な現象
そしてそれに対する登場人物たちの会話やリアクション
これらがメチャクチャ面白いのです。

そりゃあね、放火事件の新しい手がかりが見つかったり
普段メチャクチャ爽やかな春が、謎の激情を発散する場面があったら
続きが気になっちゃうわけですよ。

ともかく、読者を飽きさせない構成。
これが非常に質の高い作品となっております。

父親が完全に兄弟を救い切る

泉水と春がちょっと変わった兄弟であることは
ご理解できたかと思います。

二人はね、メチャクチャ悩んだわけですよ。
ずっとずっと苦しんできたわけですよ。

それはもう魂に刻み込まれた呪いのようなもので
万人が喜ぶ救済でも、聖人がくれる有難い言葉でも
二人の本当の心の奥底までは届かなかったはずなんです。

けれどね、こんな二人も最後には救われたわけですよ。
しかも、父親の呆気ない一言で。

理屈でもなく、同情でもなく
そういう小難しいものを完全に無視して
たった一言で父親は二人を完全に救ったのです。

これはもうね、スゴイ偉業ですよ。
この家族は無敵だ、と納得せざるを得ませんでした。

癌に侵され余命いくばくもない父親は
二人にとって完全無欠のヒーローだった。

だから、この小説は傑作なんです。

まとめ

  • 競馬のことは『重力ピエロ』のネタバレにならない
  • この家族、作中で名字出てなくね?
  • 父親の一言はマジで涙もの

以上です。

僕の部屋は超絶汚部屋なので
本を読みたいと思ったら捜索で休日を無駄にする覚悟が必要なのですが
『重力ピエロ』はアッサリと見つかりました。

ぶっちゃけ、この本は少なくとも三冊は購入した記憶があるので
休日を無駄にしなくて助かりました。
買っててよかった重力ピエロ。

いや~それにしてもやはり伊坂幸太郎は面白いですね。
次は陽気なギャングシリーズでも読み直そうかなと思っています。

まあ、本が見つかるかどうかが重要なんですけどね。

 

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