どうも、僕です。
僕は自称漫画好きです。
今までの人生、ジャンル問わず様々な漫画を読んできました。
そんな中、特に好きな漫画家に冬目 景という人がいます。
どれくらい好きかというと
書店で新刊を見かければ財布の中を確認せずレジに向かったり
原画展があればカレンダーを見ずにチケットを予約しちゃうほど好きです。
もうゾッコンなのです。
そんな、冬目 景の名作『羊のうた』。
ぶっちゃけこれ、あんまり知名度ないんですよね。
間違いなく名作なのに。
そこで今回は、これから冬目 景デビューする方々のために
出来るだけネタバレやあらすじをさけ、『羊のうた』を紹介しようと思います。
いやはや、これは実にやりがいがありそう。
リクオ、ハル、僕を応援してくれい。
冬目 景ってどんな人?
こんな作風
冬目 景は商業誌デビューが1992年。
なんやかんやで作家活動30年を超えている超ベテランさんです。
美大出身者であるため漫画の線が非常に特徴的で
ファンならば一目見れば冬目作品だと分かるほど。
初期の作品は扉絵が油絵で描かれていることも多く
一枚絵だけで他の漫画家さんとは何か違う色彩センスを感じ取ることが出来ます。
また、作品内で派手なアクションシーンはあまりありませんが
人物の内面描写が非常に繊細で緻密、その表現は漫画というより純文学のよう。
登場キャラクターの一コマ
もしくは一台詞、欠けるだけでストーリーが崩れてしまいそうなほど洗練されていて
作品全体から贅肉を極限まで切り落とした美しさを感じ取れることが出来ます。
個人的には、唯一無二、と思える漫画家さんです。
それ以外の特徴は……
あとネットでよく言われており、僕自身も思っていることですが
この人、とにかく筆が遅い。
冬目 景作品にアニメ化までされた『イエスタデイをうたって』という作品があるのですが
この作品、全十一巻なのに完結まで17年かかっております。
また、『黒鉄〈KUROGANE〉』という作品に至っては
全五巻なのになんと完結まで24年……。
いや、休載期間があるとはいえ
単純計算で一巻出るのに五年以上、オリンピックかよ。
けれどまあ、冬目ファンからすれば
ちゃんと物語が完結してくれるのはとてもありがたいことなのです。
『イエスタデイをうたって』は完結するのか、すごく不安だったので……。
『羊のうた』について語らせてもらおう
ヒロインは二人体制
さて。
いよいよ本題です。
物語の確信に出来るだけ触れず
『羊のうた』を紹介していきましょう。
まず、この物語にはヒロインが二人、登場します。
単行本の表紙もだいたいこの二人が飾っています。
本当にだいたいね。
一人目、属性てんこ盛り 高城 千砂(たかしろ ちずな)
漆黒の黒髪ロングストレート、肌はそれと対比を成す透けるような真っ白。
左目の下にある涙のような二つのほくろが特徴的な美少女高校生、高城 千砂。
もうこの二行で属性が溢れかえっています。
しかし、千砂はまだまだこんなもんじゃありません。
まず服装!
何と彼女は作中登場するとき、セーラー服と和服姿しか披露しないのです!
いやいや!
女子高生がセーラー服を着るのはごく普通なのですが
和服て!!
しかもそれが父親の趣味て!!
とんでもないスタートダッシュを決めてくれるぜ……千砂さんよぉ。
さらにこの千砂さん、超ド級のツンデレなのです。
初登場時は噛みつかんばかりの目をしているくせに
一度気を許すととことん甘やかせてきやがる。
初めは悪女全開の笑みを浮かべていたくせに
中盤から笑顔をちらほら振りまき始め、なんだかんだで衣食住を完備してくれます。
冗談抜きで、和服姿の美少女が毎朝味噌汁を作ってくれる場面が出てくるのですよ!!
いやいや、そりゃフィクションだから事なきを得ましたが
リアルだったら確実に致命傷。
まったく、とんでもない逸材ですよ、千砂は。
そして、こんな化物の相手をさせられる、もう一人のヒロインとは一体どんな人物なのでしょう?
二人目、フィジカル最強 八重樫 葉(やえがし よう)
千砂に立ちはだかる女傑、その名は八重樫 葉というものありけり。
八重樫さんは地味な見た目の女子高生。
クラスの中でもあまり目立たず、綺麗な髪の千砂と比べ散切り頭っぽい、もっさりとした髪型をしております。
小柄で華奢なのに、太くて濃い眉をしており、滅多に笑いません。
いや、笑わない女こそ至高なんですけれどね。
さて。
賢明なる読者諸君はすでに危惧していることでしょう。
八重樫さんで千砂に敵うの?
はい、そこ、余計な心配しない。
確かに八重樫さんは外見の設定上、千砂には遠く及ばないかもしれません。
しかも、謎にメチャクチャ幸が薄いです。
しかし、彼女には作中最強の行動力とフィジカルが備わっているのです!
どんなに拒絶されても決して諦めず
行き先が分からなければストーキングすることも厭わない。
そして何よりですよ!
物語終盤で見せた八重樫タックル。
はい、これ最強。
人類には絶対に捌けません。
アマレスのオリンピック金メダリストだろうと
ごっついNFLのアメリカンフットボーラーだろうと
最強 八重樫タックルを防ぐことは出来ません。
この八重樫タックルがあるからこそ
八重樫さんはヒロインとして千砂と双璧を成すことが出来るのです。
いやぁ、優秀なヒロインが二人もいて
この漫画は本当に盤石なんですよ。
一砂? 誰それ?
あっ。
ちなみに、この漫画の主人公は一砂です。
高城 一砂(たかしろ かずな)。
まあ、一砂はどうでもいいです。
『羊のうた』は千砂のツンデレっぷりと八重樫さんのタックルを堪能する漫画なので。
はい。
あと、これだけは言っておきたい
賛否両論 47話の存在
『羊のうた』という漫画。
全47話という構成なのですが
昔っから最終話である47話の存在が賛否両論のタネになっているのです。
なぜ賛否両論になってしまうのか。
ぶっちゃけ、これは嗜好の違いだと思うのです。
まあ、簡単に言ってしまえば、ただの好き嫌いですね。
47話の存在を許容出来るかどうかで
その人の嗜好がある程度分かると思うのです。
47話なんていらない、蛇足だ、と主張する人
握手しましょう。
46話で終わっていれば
この漫画の完成度は跳ねあがります。
最後のカラー絵、あんなもの涙が止まりません。
喪失感、想像力、諸々の感情にすごい刺激が与えられます。
そんな体験は、きっとなかなか得られるものではないでしょう。
47話は必要だ、素晴らしい最終回だ、と主張する人
握手しましょう。
46話で終わっていたら悲し過ぎます。
八重樫さんがかわいそうです。
マジ、一砂ぶん殴りものです。
見開きの扉絵、あんなの号泣ものです。
47話は喪失感以外の不快感を払拭する素晴らしい回です。
ハッピーエンド至上主義ならば、47話は絶対に見ておくべきおなのです。
まとめ
- 千砂と八重樫さんは最高のヒロイン
- この漫画を最後まで読むと、とにかく感情が爆発する
- 一砂? なにそれ美味しいの?
以上です。
最期に。
自分は一年に一回はこの漫画を読みなおし、その都度様々なことを考えます。
なぜか読むたびに、違う感想を抱くのです。
前回否定していたものが、次読んだとき肯定している場合があります。
もちろん、その逆も起こったりします。
自分にはそれが成長なのか退化なのかよく分かりません。
ただ、次読んだときどのような感想を抱くのか、それがいつも楽しみで仕方ないのです。
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