【十戒】脱出不可能、神頼みではなく犯人頼りで高まっていく極限の緊張感

読書
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どうも、僕です。

帰省する新幹線の移動中、時間があり余るので
その時間を丸々読書に費やしました。

今回読んだ本、大当たりでした。
移動時間があっという間に溶けた感覚です。

読んだ本の名前は十戒
この部分だけ切り取ると聖書でも読んでたん? となりそうですが
そんな有難い内容ではありません。

孤島に取り残され脱出不可能になった人々が
事件を起こした犯人に自由を奪われ、理不尽を強いられ
肉体的、精神的に追い詰められていくという内容でした。

その緊張感は読んでいて息苦しさを覚えるほど
何度、ペットボトルの水で喉を潤したか分かりません。

というわけで今回は
作品の中で犯人が神様のように振舞う
十戒について感想を書いていこうと思います。

説明必須、犯人を捜してはいけない異常事態

そもそもどんな状況なのか

舞台は無人島、視点は大室 里英という芸大を目指している女性の目線で進展します。

無人島は里英の叔父が所有していた別荘のような島で
叔父が急逝したため、里英の父親が引き継いでいました。
その無人島を開発業者がリゾート地にするため
里英と父親、開発関係者が下見しに来るところで物語は始まります。

登場人物は全部で9人。

里英
父親
島の下見に来た業者たち6名
そして、叔父の知り合いだと名乗る男性1名
以上の9名。

この9名で島を探索していると
なんと島の真ん中にある作業小屋から大量の爆弾が発見されるのです。
その量は上陸している人たちが爆死してしまうのに十分な量
しかも遠隔操作で爆破出来るようになっていました。

予想していなかった危険物に
冷静な判断力を失っていく登場人物。
携帯電話が使えるのにもかかわらず
面倒事を避けたいため問題を先延ばししようとする。

そして次の日、参加者の一人が殺されたことが判明。

こうして舞台は完成する。

島に滞在する関係者たち

爆弾はいつ爆発するか分からない。
そして、殺人犯が身近にいる。

この異常事態を強制される登場人物たちを簡単に紹介しておきましょう。

  • 大室家、二名
    島の所有権を有している一家
    里英:読者と視点を共有する芸大志望の浪人生
    父親:里英の父親。叔父が亡くなったので島のことを持て余していた
  • 日陽観光開発、二名
    島のリゾート化を考えている開発会社
    沢村:生前の叔父と仕事上付き合いがあった
    綾川:研修社員として島の下見に参加していた
  • 草下工務店、二名
    日陽観光から仕事を受けている建設会社
    草下:草下工務店の社長
    野村:設計者、女性でもある
  • 羽瀬蔵不動産、二名
    島を下見する直前に急遽同行を願い出た不動産屋
    藤原:三十代前半くらいでアウトドアウェアな格好をしている
    小山内:藤原よりも一回りほくらい年上。島の建築物に好印象を抱いている
  • 亡くなった叔父の友人、一名
    矢野口:亡くなった叔父と趣味がよく似ている。里英の父親とも面識はあった

以上、この九名の中から死体となった人間が発見され
それと同時に犯人の存在も明らかとなります。

どうして島に滞在しなければいけないのか?

島は携帯電話が使えます。
その気になれば助けを呼ぶことが出来ます。
警察に殺人事件が起こったことを伝えることだって可能です。

なのにどうして
滞在者たちは命の危険を感じながらもそれをしないのか?

答えは簡単。
それが犯人からの指示だからです。

人を一人殺め、爆弾をいつでも爆発させられる犯人は
まるでこの世の理(ことわり)を作っていく神様のように
様々なルールを創り出していきます。

こうしてリゾート地になる予定だった無人島は
殺人犯の筋書きを具現化してくための
狂気のキャンバスと変わり果ててしまいます。

理解出来ない犯人からの神託

十戒という絶対的なルール

僕はあまり詳しくないのですが
十戒とはそもそも旧約聖書に出てくる神様から授かった戒律のことらしいですね。
モーゼが海を割ったエピソードが強すぎて、そんなことは露知らずでした。

では、この作品において十戒とは何を意味するのか?
それは犯人からの脅迫文です。
要は、言う通りにしないと爆弾爆破させてみんな殺しちゃうよ
という脅し文句なのです。

その脅迫は細かく十個の内容に分けられており、簡単に要約すると

  • 三日間島にいてね
  • 外の人と連絡とってもいいけど、事件のことは言わないでね
  • 長い時間、皆一緒にいないでね

という感じです。
そして、この十戒にはもう一つ、肝となる指示があります。

  • 犯人を探したり、見つけようとしないでね

この犯人探しに関する規則が特に絶妙なのです。

犯人が自分の罪をバレるの防ぐ心理は分かります。
しかし、三日間島に人を滞在させる意味が全く分からないのです。
だって、十戒は三日間の行動を制限しているだけなので
三日後は何をしたって自由なのです。

島を脱出しようが。
警察に連絡しようが。
犯人のことを調べようが。
何の制限もされていないのです。

何故三日間島にいなければいけないのか。
犯人の目的は何なのか。
そして、どうして人を殺さねばならなかったのか。

島に滞在している人たちは様々な疑問を抱えつつ
そして、それらを詮索することを禁止され
いつ爆発するかもしれない爆弾と三日間生活することを強要されるのです。

しかも、正体不明の殺人犯と一緒に。

これはとんでもない地獄ですよ。
いつ精神が破綻してもおかしくない状況ですからね。

そしてこの作品は
その三日間を生々しく書ききっているのですから
読んでいて息が詰まりそうになりましたよ。

犯人の行動が謎過ぎる

島に滞在している間
いくつも不可解なことが起きます。

その最たる例は
事件そのものではなく、要所要所で送られる犯人の指示でしょう。

犯人は殺人という違法行為を行っています。
そして、警察に殺人が露見することを嫌がっています。

それなのに、犯人は殺人事件を起こすと必ず
滞在者たちにわざわざ知らせているのです。
しかも、その後の細かな指示と共に。

当然、神託を受けた滞在者たちは犯人の意志に背くことなど許されません。
時には死体の処理を強要されたり、犯人が残したと思われる証拠を隠蔽させられたりします。

この犯人から課せられる指示の内容があまりにも意味不明で
犯人の意図が分からない滞在者たちは、より混乱を極めていくのです。

二周目のオススメ、これで貴方も神様になれるかも?

読者も神様になれる瞬間

この十戒はミステリー本です。
ミステリー本であるということは
当然、最後までに謎が解明されるような造りになっています。

もう終盤は怒涛の勢いで二転、三転。
意味の分からなかった出来事がいきなり繋がり始めます。
この瞬間はとても気持ちが良く
あの息苦しい三日間を読み込んだからこそ得られる快感があります。

もうそうなったら
絶対に二周目をおススメします。
十戒は一周目と二周目で景色がガラリと変わるのです。

二周目を読み進めながら「あ~はいはい、そういう意味ね」と感じているとき
さながら指示を出し続けた犯人のような
神様になった万能感を覚えること必須ですから!

【十戒】をより楽しむための方法

さて。
ここまで十戒の内容ばかり紹介してきましたが
この本は以前紹介しました『方舟』という作品と同じ作者が同じです。
作者の名前は夕木 春央さん。

『方舟』を読んだ感想記事を紹介しておきますので
よろしければ合わせてお楽しみください。

んで、今回読んだ『十戒』。
もちろん、『十戒』だけでも充分楽しめるのですが
『方舟』を事前に読んでおくと、ほんのちょっとだけお楽しみが増えます。

これ、本当にちょっとだけです
フロムゲーで言うところの、装備品に関するフレーバーテキストみたいな感じでしょうか。
『十戒』の内容に全く関係ないので、ただのファンサービスと言って差し支えないでしょう。

ただ、僕は事前に『方舟』を読んでおいて、本当に良かった! と思いましたね。
少しでも面白さを増幅させたいのなら『方舟』を読んでおくことをおススメしておきます。

無論、無理にとは言いません。
単独でも充分面白い作品ですので。

まとめ

  • 心理的に閉じ込められる閉塞感はヤバイ
  • 安全に暮らせている日常が一番
  • 人殺しはどこまでいっても人殺し

以上です。

いやあ、マァジで面白かったですね。
夕木春央、2026年はこの人の他の作品も読んでいこうと思います。
でもその前に、新幹線で時間を潰すため、他にも四冊本を買っちゃったから
そっちも消化しないと……。

あと、ゴーストオブヨウテイもトロコンしないといけないし
ストリートファイター6のMRも上げなくちゃだし
あー忙しい忙し。

 

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