【魔眼の匣の殺人】久しぶりにハマった小説の続きを読み終えた

読書

どうも僕です。

いや~、久しぶりにハマりましたよ。
今村昌弘。
作品ではなく、作家でハマったのは辻村美月以来ですなあ。

タイトルにある『魔眼の匣の殺人』、読み終わりました。
メチャンコ面白かったです!
あまりに面白かったので、思わず二周目に入っちゃってます。

というわけで今回は、『魔眼の匣の殺人』の感想を書いていきます。
上手く伝えられるかな~、この面白さ。

ついつい読みたくなるシリーズ物

簡単に作品のご紹介

この『魔眼の匣の殺人』は今村昌弘という方の作品で
『剣崎比留子シリーズ』の二作目となっております。

タイトルに殺人と書いてあるだけあって、ミステリーにカテゴライズされる内容となっており
調べてみると下記のようなランキングに名を連ねておりました。

  • 2020本格ミステリ・ベスト10」第2位
  • 「週刊文春ミステリーベスト10」第3位
  • 「このミステリーがすごい!2020年度版」第3位
  • 「ミステリが読みたい!」第3位

うん、なんだかよく分からんが
とにかくすごいミステリー作品ということは伝わったことでしょう。
僕は薄っぺらい権威主義者なので、とにかくこういう肩書きには弱いのです。
えっへん(威張ることではない)。

前作から続投している葉村くんと比留子さん

さて、前述してある通り、シリーズ物である『魔眼の匣の殺人』。
魅力的な二人のキャラクターが続投しております。

それは、ワトソン役の葉村くんと探偵役の比留子さんです。
いや~、この二人の関係性がとてもいいんですよ。

比留子さんは頭脳明晰で容姿端麗、さらには今までの実績で
社会的にみてほぼ完璧な存在。

しかし、朝が弱かったり、料理が出来なかったり。
実は生活能力がかなり低め。
実家が資産家であることも関係しているのか、かなり尖がった性能をしております。

それを見事に補うのが葉村くん。
葉村くんは本当に良い塩梅で比留子さんをフォローするのです。
朝はモーニングコール、料理する場面があれば代わりに手伝ってあげたり。

その様子はまるで、ビールと枝豆、レバーとニラ、豚キムチと白米の如く。
主役の邪魔をせず良い面を強調する、それが葉村くんです。

それと、単純に二人の掛け合いが面白いんですよね。
真面目な話をしつつ、小気味良く冗談を言い合える。
二人の会話は伊坂幸太郎作品のようにウィットに富んだ会話なので
何げない日常生活パートを見ているだけで微笑ましい気持ちになります。

ミステリーの謎なんか解いてないで
ずっとほのぼの日常系やってくんねえかな、この二人。

魅力的な舞台設定

絶対に外れない予知の存在

自分が考えている『剣崎比留子シリーズ』の大きな特徴。
それは、非現実要素があるのにフェアな作りになっていること。
(ここで言う非現実要素とは、謎を成立させられない便利過ぎる能力や設定などこのとです)

例えば、ミステリー小説で何の説明もなく不思議な能力が登場して
雑に謎を解決して物語が終了する。
それではどんなに作品が面白かったとしても
絶対に名作ではないと思うんですよね。

ミステリーは読者にとってフェアであることがとても重要。
だから便利過ぎる存在はミステリー小説において
非常に扱いが難しいと思うんですよね。

ところでこの『魔眼の匣の殺人』。
露骨に非現実要素が出てきます。
それはもう、これがこの作品の売りなんです! と言わんばかりに。
しかも、それは予知能力。
予知能力って絶対ミステリーと相性が悪いと思うんですよ。
だって、精度の高い予知が出てきたら、犯人を当てればいいじゃんって話になるじゃないですか。

ところがどっこい。
そうはいかないのがこの『魔眼の匣の殺人』。
相性最悪な、ミステリー×予知、が空前絶後の絶妙なバランスで混ざり合い
ものすごくフェアな物語として仕上がっております。
いや、どんな錬金術だよこれ。

あと二日のうちに、この地で四人死ぬ

本作品には非常に精度の高い予言が出てきます。
巻末に書かれているその予言は

「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」

いや、人が死ぬて。
いくら精度の高い予言と言っても、本当に当たるん?
だって人が死ぬってよっぽどの出来事ですからね。
普通は信じるに値しませんし、物語に出てくる登場人物もどこまで信じることやら。

あと些細なことですが、『殺される』っていう表現じゃなくて『死ぬ』っていう表現がミソだと思うんです。
だって、人が死ぬ要因って殺人だけじゃないですからね。
病死や事故死だってあるわけですから。

このちょっとした違いが、物語に大きく影響していきます。

作者は絶対重度のミステリーオタク

この作品を書いた今村昌弘は絶対に重度のミステリー好きだと思うんですよね。
だって、作中にミステリー用語がごろごろ出てきます。
見立て殺人やら、クローズドサークルやら。

正直、自分はそこまでミステリーを網羅していないので、分からない単語がそこそこありましたが
作者はそんなミステリー初心者に対して作中で色々配慮してくれています。
なんとワトソン役である葉村くんを使って、状況や単語の説明をしてくれているのです。
その説明の明朗なこと、明らかに作者はミステリーオタクですね、しかも重度の。
いやまあ、ミステリー作家なのだから当然っちゃあ当然なのですが

な~んか、嬉々としてミステリーを語っている文章が所々にあるんですよね。
そこからかんじるんですよ、あの
好きなものを説明しているとき特有の早口になっている感じが。

しかも、登場キャラクターがミステリーにおける最も忌むべき大罪『ネタバレ』について
嫌悪感を示す場面まであります。
ネタバレについてモラルがどうとか語っているので、作者は相当ですね。

まあ、ネタバレについては僕も全くの同意見です。
ネタバレは問答無用でギルティ。

まとめ

  • 相変らず高評価のシリーズ二作目
  • 続投しているキャラクターは物語関係なく魅力的
  • 予知の使い方が絶妙
  • 作者はミステリーオタク

うん、まとめ部分を読むだけで面白そう。
いや、う~ん、ムリか……。

最後のって悪口っぽいしな。
まあ、人によっちゃあ誉め言葉だと思いますし
自分だったら言われて嬉しいのですが。

とにかく、『魔眼の匣の殺人』には続巻があるので
いちファンとしてこれからも続きを楽しませてもらいます。

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