Written by ikemiya。

【青のフラッグ】完結した漫画の内容をできるだけネタバレせずに語ってみる

漫画

どうも、僕です。
読んだ書物の感想をダラダラ書いているので参考にしていただけると幸いです。

皆さんは『青のフラッグ』という漫画を御存じでしょうか。
2017年に連載が始まり、2020年に完結した漫画です。

少し前の漫画ですが、その内容は非常に前衛的。
あまり類を見ないストーリーなので今連載が始まったとしても同じ印象を抱くと思います。

そこで今回は、この『青のフラッグ』の魅力を、できるだけネタバレせずに語ってみたいと思います。

『青のフラッグ』の表向きストーリー

パッと見のあらすじ

主人公の『一ノ瀬 太一』は少し根暗で地味などこにでもいる高校三年生。久しぶりに幼馴染である『三田 桃真』と同じクラスになったが、桃真はスポーツ万能で外見も良く、太一とは真逆のクラスの中心人物になっていた。
太一は人気者になった桃真に劣等感を抱き距離をとろうとするが、桃真は昔と変わらず楽しそうに話しかけてくるので、太一は少し息苦しさを感じる。
ある日、たまたま街中で会ったクラスメート『空勢 二葉』から桃真に片思いしていると話しかけられ、断り切れず相談を受けることになった。
こうして、『一ノ瀬 太一』、『三田 桃真』、『空勢 二葉』の3人は高校生活最後の年を同じクラスで過ごすことになる……というお話。

どんなジャンルのお話なの?

『青のフラッグ』は青春モノにカテゴライズされます。
高校生が登場人物で、同性間の友情があり、異性間の友情があり、そして恋愛要素もあります。作中には運動会や文化祭など学校で開催されるイベントがあり、仲の良い友人同士で映画を鑑賞したり夏祭りで花火を見たりします。
誰もが想い描く『こんな青春を送ってみたかった!』をなぞる展開になっているのです。

魅力的な登場人物たち

主要人物はこの4人

そんな漫画に出てくる登場人物たちですからみんなとても魅力的。特にこれから紹介する4人は外見も内面も個性的で、この漫画を面白くするのに必要不可欠な存在です。

一ノ瀬 太一

本編の主人公。背が低く黒髪のくせっ毛。男子。手先が器用で物を食べるのが異常に早い。クラスで目立つ存在ではないが土壇場で機転が利いたり弱い存在をほっとけなかったり、意外と頼りになる一面を持つ。
太一が二葉の恋愛相談に乗ることでこの物語は始まり、のちに太一は大きな決断を迫られることになる。

三田 桃真

太一の幼馴染。運動神経抜群のイケメンで人当たりがよく、常にクラスの中心にいる人気者。男子。所属している野球部ではキャプテンを務めている。兄弟がおり兄は既婚者、兄夫婦も太一と付き合いがある。
太一とは疎遠になっていたが同じクラスになったことで親交が再び活発になる。好きなタイプは黒髪。

空勢 二葉

太一や桃真のクラスメート。小っちゃくて内気な女の子。初登場時は腰まで届くロングヘアーだったが太一の言葉を聞いてショートヘアーになる。自己評価が低く活発でない自分のことが嫌い。ふとしたきっかけで桃真と会話したことがあり、自分とは真逆の存在である桃真にあこがれを抱くようになる。

伊達 真澄

二葉の親友。スラリとした体形で黒髪のロングヘアー、陸上部所属。親しくない人には愛想が悪く、始めは太一や桃真にも素っ気ない態度をとっていたが徐々に打ち解けていく。達観したものの見方をしており、リスクリターンを念頭に置き常に最善の選択をしていくタイプ。髪を切る前の二葉のフワフワロングヘアーが好きだった。

登場人物に悪役はいない

既に書いてある通り登場人物に特別な存在はいません。つまり、現実でも起こりえる普通の高校が繰り広げられるのです。登場人物はみんないいやつで悪人は一人もいません。みんな笑って悩んで、互いの幸せを祈り合い助け合う素晴らしい関係です。
それなのに、どうして『青のフラッグ』はこんなに切なく、読む人の心を抉ってくるのでしょうか。

王道な物語に隠された斬新さ

1巻の最後に爆弾が仕込まれている

物語は1巻の終盤まで太一が二葉の恋愛相談にのるというストーリーで進みます。この時点ですでに上記の4人は登場しており、2巻以降もこの爽やかな群像劇を楽しむことができるのだなあと想像できる展開になっています。実際に2巻以降も青春漫画として非常で出来が良く、読んでいるだけ青春っていいものだなあと思えます。
しかし、油断してはいけません。1巻の最後に最後でとんでもない爆弾が仕込まれているのです。

作者と読者の間に結ばれた暗黙の了解

この爆弾はとても巧みに仕込まれています。
直接的な表現など一切ないのに、作者の伝えたい意図が露骨なのです。当時、読んでいた僕の反応としては「…………あっ、…………えっ、そういうこと!?」という感じでした。
それはもうとても分かりやすくこの暗黙の了解が『青のフラッグ』と途方もないチャームとなっています。

随所に張られた伏線

『青のフラッグ』が普通に読んでいるだけで充分面白いのは説明済みですが、この仕込まれている爆弾がさらに漫画の完成度を上げています。
例えば漫画の途中、キャラクターの表情だけ描かれているコマがありますが、それは普通に読んでいて違和感がありません。しかし、仕込まれた爆弾を意識して読むと明らかに別の意味が含まれています。
嫉妬、羨望、羞恥、恋心、などなど。台詞に出てこない感情が盛りだくさん。それらすべてが1巻の爆弾に繋がっているような気がして、何でもないシーンですらドキドキしてしまうのです。

最悪のタイミングで爆発する爆弾

1巻の最後に仕込まれていた爆弾ですが、最悪のタイミングで爆発します。爆発が爆発した後、登場人物たちは混乱し、周囲から好奇の目にさらされ、不必要に傷ついていきます。読んでいるときはやりきれなくて切なくなり、ページを捲る手が止まりがちになってしまいました。
しかし爆弾がいつか爆発することは分かり切っていたことであり、この現象は避けて通れない現象です。むしろ、この状態をどのように収束させるのかがこの漫画の肝と言えるでしょう。

爆発から物語が終わるまで

最終話は若干ミステリー的な手法がとられていました。そうすることにより、本当の終盤になるまで登場人物たちがどのような決断を下したのか分からないようになっているのです。その結末を見届ける限り、登場人物たちは皆楽しそうで全員が最善の選択をしたのだろうなという感想を抱くことができました。
ただ、この結末は僕がまったく予想できないものでした。こういう終わり方もあるのかと、読み終えた後その衝撃の大きさでしばらく呆けてしまいました。

まとめ

以上がネタバレを考慮した『青のフラッグ』のあらすじ及び感想です。
今回のブログで僕が言いたいことを箇条書きしておきます。

  • 『青のフラッグ』は良くできた青春漫画。
  • 登場人物はみんな魅力的で悪い人はいない。
  • 1巻の最後に爆弾が仕込まれていて、それが作品全体に影響を与えている。
  • 爆弾が爆発してからが真骨頂。物語は美しく収束している。

以上です。
このようなテーマを扱う漫画は本当に珍しく、しかも綺麗に完結させられている作品は類を見ないのではないでしょうか。とてもセンシティブな内容なので本当に色々考えさせられます。世の中がもう少し変わったとき、改めて読み直してみたいです。

今回のブログは以上です。
最後に、作品を購入するのに便利なURLを貼っておきますので興味のある方は活用してみて下さい。
当ブログを読んでいただいて、ありがとうございました。