【屍人荘の殺人】久しぶりにハマった小説の続きが気になる

読書

どうも、僕です。

本屋に平積みされていたので何となく読んでみた屍人荘の殺人。
シンプルにメチャクチャ面白かったです!

本当に久しぶりにハマった小説でした。
しかも嬉しいことに、調べてみたらなんとシリーズ物。
当然、続きが気になる

というわけで続きを読む前に、一旦内容を整理するためにも感想を書いてみます。

魅力的な探偵とワトソン役

探偵もので鉄板の組み合わせ

ミステリー小説と言えば謎、謎と言えば解決する探偵。
もっとも有名な探偵と言えばホームズですが、それと同じくらい有名な存在があります。
それは、常に探偵の横にいて、探偵とは違う目線で物語を追いかける助手の存在です。
これがいわゆるワトソン役。
そしてこの『屍人荘の殺人』には魅力的な名探偵とワトソン役が登場します。

ちょっと有能すぎないか? ワトソン役 葉村 譲

この小説のワトソン役を担うのは葉村 譲という大学一回生。
ミステリ愛好会に所属しており、古今東西 様々なミステリ小説が好きなどこにでもいる一般的な青年です。

しかし、この葉村くん。
小説を読んでいてい思うのですが、少々能力が高い気がします。

初対面の人物相手に礼儀正しく適切に会話をこなし、無難な人間関係を構築。
ミステリ小説好きの大学生というだけあって、教養は高水準で守備範囲が広い。
さらに場数を踏んでいるせいか妙に落ち着いており、いざというときは機転が利く。

ちょっと有能過ぎませんか? このワトソン。
充分探偵役が務まりますよ。

しかしまあ、実際のワトソンも医師を生業とするほど有能な人物だったので
名探偵の相棒は、これくらいハイスペックじゃないと務まらないのかもしれませんね。

信頼と実績の名探偵 剣崎 比留子

この小説の探偵役は間違いなくこの剣崎 比留子。
如何に葉村くんが有能であろうとも、所詮彼は比留子嬢の引き立て役でしかないのです。

剣崎 比留子は葉村くんと同じ大学に通う二回生。
容姿端麗、頭脳明晰、社交性も高く、その上なんと実家はお金持ち。
しかもその頭脳により、すでに本物の事件を解決に導いており、警察から頼りにされている本物の名探偵なのです。

ここまで完璧な要素が揃えばさすがの葉村くんも太刀打ちできません。
実際、作品は比留子さんが推察し、葉村くんがそのフォローをして謎を解き明かしていくという形になっています。

また、一見、完璧に見える比留子さんですが、何故か葉村くんの前だけでは年相応の素振りを見せています。
もっと砕けた表現をするならば、彼女は葉村くんの前で妙にお姉さんぶっているのです。
たった一歳年齢が上というだけで。

その振る舞いは背伸びをしている年頃の少女そのもので、なんだか妙にほっこりしてしまいます。
皆の前での比留子さん、葉村くんの前でだけの比留子さん。
このギャップが、比留子さんの魅力をより引き立てて、非常に愛嬌を感じてしまいます。
良き。

ミステリ愛好会会長 迷探偵 明智恭介

そしてこの作品には決して忘れてはいけない人物がもう一人登場します。
彼の名は自称 名探偵 明智恭介。
葉村くんが所属しているミステリー愛好会 会長で大学三回生です。

しかし、僕にはどうしても彼が名探偵とは思えないのです。
ホームズとワトソンのような葉村くんとの軽快なやり取り、大学の内外に伸びている不思議な人脈、時たま発揮するらしい鋭いひらめき。
非常に魅力的な人物であることは間違いありません。

けれど残念なことに、彼が作中でその素晴らしい頭脳を披露する機会はありません。
どちらかと言えば、無駄に行動力があるくせに他人の気持ちを慮らない厄介者、というのが僕が抱いた明智さんの印象です。
つまり、トラブルメーカーということですね。

ちょっとしたボタンの掛け違いの結果だと思うのですが
明智さんがその鋭いひらめきを披露するのは本作品ではなく別の舞台となっています。
非常に残念。

ちなみに。

葉村くんが本作品で事件に巻き込まれていく原因は
この明智さんが比留子さんから持ち掛けられた『取り引き』を受けたことになります。

こういう自ら喜んで厄介事に首を突っ込んでいく悪癖こそ
明智さんが名探偵ではなく迷探偵だなと思う要因になっています。

なんでそんなことになるの?とんでもない舞台設定

『想像だにしなかった事態』とは?

魅力的な名探偵が活躍する作品は他にも存在します。
奇想天外なトリックで読者を鮮やかに騙してくれる作品も世の中にはあります。

けれど、作中の世界観で、このような異常事態になる作品は、本当に稀だと思います。
ネタバレもありますし、どのように表現すればいいのか分かりません。
なので、ここはシンプルに本作品の裏表紙に書かれている言葉を借りることにしましょう。

『想像だにしなかった事態に見舞われ、一同は籠城を余儀なくされた』

いや本当にそう!!
これは想像できなかった!!

だってこの設定でどうしてこんなことが起こるの?
普通、そんなこと起こるなんて思わないじゃん!!

……ふう。
いやまあ、世の中にはたくさんの作品があります。
正直、似たような設定の作品なんていくらでも思いつくんですよ。

ただ!!

この世界観×この状況=あり得ない!

いやまったく、作者はどうしてこんな事態を想像出来たのやら。

あり得ない舞台設定なのに非常に高い納得感

さて。
あり得ない設定の本作ですが、納得感がないのかと言われればそんなことはありません。
非常に高い納得感を得ることが出来ます。
普通、こんな無茶苦茶な進行があれば、読者は少なからず不公平を覚えるものですが
この作品に限ってその不満はありません。
それは一体どうしてか?

それは、この『想像だにしなかった事態』が、本筋と深く関わっていないからだと思います。
インパクトが強くとても印象的な出来事であり、トリックの一部にも使われている。
けれど、メインの事件発生の是非に関係がないのです。
この贅沢な設定が、物語を彩るただの装飾品でしかないのです。

本来、コース料理のメインディッシュを担うはずの設定が引き立て役の前菜として消費されているわけですからね。
そりゃあ最初のインパクトはとんでもないですよ。

ただ、最初に上りに上がったそのハードルを越えてくるのは
お見事! の一言につきますね。

えっ? 続きがあるの? スゲー読みたい!

実はこれがデビュー作

面白い作品を読んだら作者を調べるのはこの世の常。
作者は『今村 昌弘』というお名前でした。
当然、他の作品を読もうと思ったのですが刊行物が異様に少ない。
なぜ? と思ったらなんとこの今村さん、本作品がデビュー作でした。
そりゃ作品リストが少ないわけだ。
ただ、嬉しいことにその少ない発表作の中に、この『屍人荘の殺人』の続巻がありました。

えっ? 続きがあるの? スゲー読みたい!

まあ、これだけ魅力的なキャラクターと唯一無二の世界観を両立させた作品ですからね。
シリーズ物になるのも当然でしょう。
今から続きが楽しみですよ。

魅力的な登場人物だからこそ成立する外伝

前述しましたが、この作品に出てくる登場人物は非常に魅力的です。
中には、もっと活躍する場面を見たい! と思える人物もいます。

それが、ミステリ愛好会会長でもある明智恭介。
小説である以上ページには都合があり、残念ながら本作ではあまり活躍の場に恵まれませんでした。
そんな明智さんファンに朗報です。
なんと明智さんをメインに据えた作品があるようです。

本編の続きを読むか。
明智さんの活躍を応援するか。
とても贅沢な悩みですね、迷う迷う。

まとめ

最近小説から離れていた僕ですが、『屍人荘の殺人』でもの凄いUターンをしてきました。

魅力的な登場人物たち他の作品では巡り合えない設定
読み終えたあとの満足感

こんな極上の体験をしてしまうと抜け出せなくなってしまいます。
中毒者として『今村 昌弘』を追いかけ始めるでしょう。
いやあ、本当に面白かったです!!!

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